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親父になる 第二部・26歳で息子を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。 第二部。(全25話)
親父になる 第三部・26歳で子供を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。新連載(連載中)

2015年7月14日火曜日

4話 初仕事

親父になる

NO.・ 4・


初仕事が始まったよ。
2LDK12世帯。
このくらいのマンションなら、一人で手が余るくらいだね。
初仕事で、元請にいい所をみせるには、丁度いいよ。

現場でも、先ずは挨拶からだよ。
建築の事務所に行って、監督他職人さんがいたら挨拶をするんだ。

建築現場っていうのはね、縦社会なんだ。
鳶さん、土工さん、大工さん、軽天屋さん(内装屋さん)が偉いんだ。
電気屋、設備屋なんてのは、下の方に位置するんだよ。
その縦社会を、うまく切り抜けないと、仕事が出来なくなるんだ。

この日はちょうどよく、監督と軽天屋さんがいたよ。

「おはようございます! 今回、電気で入らせて頂きます虹電設の斉藤です。宜しくお願いします」
みんなに名刺を配ってね、顔を覚えてもらうんだ。

「おいは社員か?」

軽天屋さんが、さっそく絡んできたよ。

「いえ、一人親方っす」
「ほお、まだ若いに、よくだなあ。幾つだ?」
「はい、36っす」
「始めたばっかっか?」
「はい、ここが最初の現場っす」
「ふーん。。。」

軽天屋さんは、横を向いて、たばこをふかしはじめたっけ。

「斉藤さん、一人で大丈夫ですか?」

今度は監督が心配してきたよ。
最初の現場っていうのが不安だったのかなあ?

「はい、大丈夫っすよ。社員の頃も、一人でやってたことありますから」
「そうですか、ま、宜しくお願いしますね」
「はい、こちらこそ」

監督はまだ20代だろうな。
若い監督だったよ。

「さて、始めるか」
「やりますか」

軽天屋さんのグループが仕事を始めるようだよ。
俺も現場を見て、計画をたてなきゃね。

「親方、俺も一緒に現場に入らせてもらっていいっすか?」
「いいけどな、俺たちが仕事してる部屋には入ってくるなよ」
「あ、それはもちろん、そんなことしません」
「邪魔しなきゃ、それでいい」
「はい。じゃ、現場に入らせて頂きます」

第一関門は突破だな。
この軽天屋さんなら、うまく出来そうだ。
意地悪な軽天屋さんだとね、電気屋に配線をさせないで、内装を終わらせちゃう人たちもいるんだよ。
まあ、俺もいろんな修羅場はくぐって来たつもりだからね。
なんとかしちゃうけどね。

とりあえず、現場を一回りしてみたんだ。
やっぱりな、この軽天屋さんは、電気配線の時間を作ってくれている。
つまり、内装の骨組みだけ作って、次の部屋に移動してるんだ。
骨組みだけになった部屋に、俺が配線をする。
その後、軽天屋さんが、壁を貼るんだ。

「親方、1階の右から始めさせてください」
「おう、いいぞ。終わったら言えよ。ボード貼るからな」
「はい」

正直な話、「頂き!」って思ったよ。
軽天屋さんのやり方次第で、電気屋の仕事なんて楽にも苦にもなるからね。

その日、家に帰ってからの酒は旨かったなあ。

「たけし、どうだった?初日は」
「おう、あの軽天屋さんなら、楽勝だよ。下手すりゃもう1件請けられるかもよ」
「何言ってんの。無理はしないでね」
「おう、大丈夫だ」

そんな話をしていたら、風呂に入ってた大樹が叫びながら走ってきたよ。

「とーちゃん、見て見て!」
「ん?なんだあ?」
「ほらほら、チンチンに毛が生えてきたよ!」
「え?見えないぞ?」
「ほら、よく見てよ。ここ、ここ!」

近づいて見ると、薄っすらと、産毛が生えはじめていたよ。

「あっはっは。これがチン毛か?」
「そうだよ、とーちゃん。俺も大人かなあ?」
「そうだなあ、大人になる準備をしてるんだなあ」
「まだ準備なの?」
「そうさ、とーちゃんのチンチンみたいにならなきゃ大人じゃないぞ」
「とーちゃんのチンチン?どんなんだっけ?忘れちゃったよ」

俺も仕事で遅くなったり、大樹も、もう10歳だったからね、一人で風呂に入ってたしね。

「そうか、じゃ、明日、一緒に風呂に入るか?とーちゃんのチンチン見せてやるよ」
「うん、じゃ、明日は、とーちゃんが帰ってくるまで待ってるね」
「おう、そうだな」

仕事も順調に出来そうだし、大樹もまだ素直な頃だったな。
とにかく、この夜の酒は旨かったよ。

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これまでの読み物
「親父になる 第一部」
「生まれるということ」 「土に呟きながら」 「右手を眺めて」 「小さな記憶」

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