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親父になる 第三部・26歳で子供を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。新連載(連載中)

2015年7月27日月曜日

6話 チンチン

親父になる

NO.・ 6・


一人親方になってからの初仕事は順調だったよ。
マンションの規模としては、一人で十分に出来る範囲だったからね。
もう1件欲しいくらいだったけど、初仕事でミスをしちゃあいけないから、やめていたんだ。
その代わり、これでもかっていうくらい、気を使って、材料もいいものを使って、いい仕事を心がけたよ。

現場に様子を見に来た元請の小林社長も言ってた。

「斉藤さん、ここまでしなくてもいいのに。これじゃあ利益が削られちゃうでしょ?」
「いえ、いつもこんなもんですよ」
「そうなんだあ。いや、いい仕事をするねえ」

下請価格がよかったから、いい仕事が出来るなんて言えないよ。
足元見られちゃうからね。

「斉藤さん、ウチの専属にならない?この仕事なら、大手のゼネコンでも通用するわ」
「はあ、ありがとうございます。仕事が切れなければいいんっすけど。。。」
「そこは任せてよ。俺はね、仮設柱が立ってたって、営業にはいっちゃうよ。仕事なんか食うか食われるかだからね」
「へー、そうっすか」

仮設柱っていうのはね、工事用の電源を引くための電柱のことなんだ。
つまり、仮設柱が立ってるっていうことは、もうその現場に電気屋が入ってるってことなんだ。
それを、小林社長は、その現場を、よく言えば営業、悪く言えば横取りをしちゃうってことなんだよ。
この話を聞いた時は、ちょっとビビッたよ。
すげえ根性のある社長だと思ったもん。

「じゃ、斉藤さん、よろしくね」
「はい」
「あ、ぺそちゃんと大樹君にもよろしくね」
「あ、はい」

ぺそと大樹の話をしなければ、気持ちのいい社長なんだけどなあ。
ま、俺は下請だ。
少々の我慢は必要だね。

そんなことで、ほとんど残業もなく家に帰れてたんだ。
だから、ぺそとも大樹とも、いろんな話が出来たんだよ。

「とーちゃん、ゆーたとチンチン比べてきたよ」
「はあ??」
「昨日、お風呂で言ったじゃん。 ゆーたがチン毛生えてるかどうかって」
「ああ、あの話な。どうだった?」
「ゆーた、俺よりぼーぼー生えてたよ」
「へー、そうか」
「でさ、チンチンの先っぽが、すこし剝けてるんだよ」
「ほー」
「自然に剝けたの?って聞いたら、自分で剝いたんだって」
「なるほどねえ」
「ねえ、ねえ、とーちゃん、オナニーって知ってる?」
「ああ、知ってるよ」
「ゆーたに教わったんだけどさ、オナニーすると剝けるんだってね」
「あっはっはっは、ゆーた、そんなこと言ったか」
「うん、オナニーも教わった」
「へえ、教わってきたんだ」
「うん、ゆーたは、ゆーたのとーちゃんには言ってないらしいんだけど、俺と、とーちゃんは秘密なしだからね」
「うん、そうだな」
「でさ、とーちゃん、俺、オナニーしていい?」
「はあ?」

さすがにこの質問には参ったね。
どう答えていいのやら、迷ってたよ。
オナニーの許可をもらう息子がどこにいる?
まあ、素直っちゃ素直でいいんだけどさ。

困ってる俺を見て、ぺそが助け舟を出してくれたよ。

「大樹、もうすぐ中学になるんでしょ?」
「うん、来年から」
「中学生にもなって、オナニーを知らないなんて、おかしいよ」
「おかしい?」
「そうだよ、オナニーなんて、健康な男子の証拠みたいなもんだよ」
「そうなの?かーちゃん」
「そうだよ。だから、とーちゃんに聞かなくったって、どんどんやりなさい」
「ふうん、やっていいんだ」
「そう、中学生になったら、なんでもとーちゃんに聞くんじゃなくて、自分で考えたり、友達と相談して決めなきゃだめだよ」
「うん、わかった」

ぺその言ってることは正しかった。
いつまでも俺を頼ってちゃ、大樹のためにならないことはわかってる。
だけど、このまま大樹は親離れをするのかな?
そんなことを考えると、少し寂しくなったよ。

俺が子離れしなきゃいけない時期にきてるんだな、って思ったよ。

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2015年7月17日金曜日

5話 大樹とお風呂

親父になる

NO.・ 5・


「ただいまー! 大樹、いるかー?」

昨日、大樹と一緒に風呂に入る約束だったからね、今日は早めに仕事をあげて帰ってきたよ。

「あ、とーちゃん、待ってたよ」
「そうかあ、今日はチンチンの見せっこだもんなあ」
「うん、もう、かーちゃんがお風呂を沸かしてくれたよ」
「そうか、じゃ、早めに入っちまうか」
「うん、入ろう、入ろう!」
「ぺそー、Tシャツは冷蔵庫でお願いねー」
「あいよ、冷やしておくよ」

Tシャツと冷蔵庫の関係は、親父になる 第二部 に書いてあるから、よかったら読んで下さいな。

大樹と風呂に入るなんて、何年ぶりだろう?
低学年の頃は、よく入ったけどなあ。
俺も残業が多くなったりしてたからなあ。
なかなか入る時間を持てなかったんだよ。

大樹は洋服をさっさと脱いで、風呂に入ったっけ。
俺の作業着は、そんなに早く脱げないからね、後から入っていったよ。

「大樹、体を流してから湯船に入ったか?」
「うん、とーちゃんに教わったじゃん。ちゃんと守ってるよ」
「そうか、いい事だ」

俺が体を流して、湯船の淵をまたいだ時だった。

「とーちゃんのチンチン、でっけーー!!」

湯船に浸かってた大樹の鼻先に、俺のチンチンがぶら下がったんだな。

「そうか?大人になると、みんなでかいチンチンになるんだぞ」
「へー。俺もなるのかなあ?」
「なるさあ。で、大樹のチン毛を見せろよ」
「うん、ほら、ここに生えてるでしょ?」
「ほほー、産毛が生えてきたな?」
「え?産毛ってなあに?」
「うーんとな、鳥でいえば、赤ちゃんの毛だ。まだ大人の毛じゃないんだ」
「え?でも、チンチンに生えたんだから、チン毛でしょ?」
「まあな。間違いはないな」

大樹もまんざらではなさそうだったよ。
チン毛が生えてきたのが、よほど嬉しかったんだろうな。
俺も子供の頃を思い出したよ。

「でも、とーちゃんのチンチンと俺のチンチン、全然違うし」
「そうか?どこが違う?」
「とーちゃんの、でっかくて、黒いし、先っぽも違う」
「うん、そうだな」
「なんで違うの?」
「体がでかくなれば、チンチンもでかくなるさ」
「うん」
「セックスをすれば、チンチンも黒くなるさ」
「え?セックスって子供を作ることでしょ?」
「そうさ。前に、かーちゃんに教わったろ?とーちゃんのチンチンが、かーちゃんの体の中に入って、大樹が生まれたって」
「うん、でも、それで黒くなるんだ?」
「そうだな、だいたいそんなもんだ」

大樹はまだ怪訝な顔をしてるよ。

「とーちゃん、俺のチンチンの先っぽ、皮がびろびろしてるけど、とーちゃんのチンチンにはないじゃん」
「あ、これか。これはな、大きくなると、びろびろした皮が後ろに剝けてくるんだよ」
「え!?皮が剝けるの?痛くないの?」
「大丈夫だ、自然に剝けてくるからな」
「へー。なんで剝けるんだろう?」
「なんでって、そりゃ、セックスがしやすいようにさ」
「剝けないと、セックスできないの?」
「どうだろう?そんなことはないと思うけどな。手術で剝く人もいるぞ」
「痛そうでやだなあ」
「いつか、大樹もチン毛がぼうぼう生えて、先っぽの皮も剝けるから、心配すんな」
「へー。。。」

はたしてこんな説明で、大樹は納得したんだろうか?
まあ、今、納得できなくても、いずれは耳に入ってくる話題だ。
変な隠し事にするより、オープンにした方がいいだろうって思ったよ。

「明日、学校で、ゆーたに聞いてみる」
「何を?」
「チンチンのこと」
「そうだな、ゆーたは親友だろ?そういう友達なら話してもいいかもな」
「うん」
「大樹、明日、ゆーたに話したこと、とーちゃんに教えてくれるか?」
「うん、いいよ」
「よし、約束だぞ」
「うん」

風呂上り、冷蔵庫Tシャツを着て、キンキンに冷えたビールを一杯。
大樹は食も太くなったし、安心だ。
こんなことで幸せを感じるって、人間ってやつは単純に出来てるんだなあ。

「ぺそも、呑もうぜ」
「あたぼうよ!」

この日は、ちょっとだけ、夜更かししたっけ。

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2015年7月14日火曜日

4話 初仕事

親父になる

NO.・ 4・


初仕事が始まったよ。
2LDK12世帯。
このくらいのマンションなら、一人で手が余るくらいだね。
初仕事で、元請にいい所をみせるには、丁度いいよ。

現場でも、先ずは挨拶からだよ。
建築の事務所に行って、監督他職人さんがいたら挨拶をするんだ。

建築現場っていうのはね、縦社会なんだ。
鳶さん、土工さん、大工さん、軽天屋さん(内装屋さん)が偉いんだ。
電気屋、設備屋なんてのは、下の方に位置するんだよ。
その縦社会を、うまく切り抜けないと、仕事が出来なくなるんだ。

この日はちょうどよく、監督と軽天屋さんがいたよ。

「おはようございます! 今回、電気で入らせて頂きます虹電設の斉藤です。宜しくお願いします」
みんなに名刺を配ってね、顔を覚えてもらうんだ。

「おいは社員か?」

軽天屋さんが、さっそく絡んできたよ。

「いえ、一人親方っす」
「ほお、まだ若いに、よくだなあ。幾つだ?」
「はい、36っす」
「始めたばっかっか?」
「はい、ここが最初の現場っす」
「ふーん。。。」

軽天屋さんは、横を向いて、たばこをふかしはじめたっけ。

「斉藤さん、一人で大丈夫ですか?」

今度は監督が心配してきたよ。
最初の現場っていうのが不安だったのかなあ?

「はい、大丈夫っすよ。社員の頃も、一人でやってたことありますから」
「そうですか、ま、宜しくお願いしますね」
「はい、こちらこそ」

監督はまだ20代だろうな。
若い監督だったよ。

「さて、始めるか」
「やりますか」

軽天屋さんのグループが仕事を始めるようだよ。
俺も現場を見て、計画をたてなきゃね。

「親方、俺も一緒に現場に入らせてもらっていいっすか?」
「いいけどな、俺たちが仕事してる部屋には入ってくるなよ」
「あ、それはもちろん、そんなことしません」
「邪魔しなきゃ、それでいい」
「はい。じゃ、現場に入らせて頂きます」

第一関門は突破だな。
この軽天屋さんなら、うまく出来そうだ。
意地悪な軽天屋さんだとね、電気屋に配線をさせないで、内装を終わらせちゃう人たちもいるんだよ。
まあ、俺もいろんな修羅場はくぐって来たつもりだからね。
なんとかしちゃうけどね。

とりあえず、現場を一回りしてみたんだ。
やっぱりな、この軽天屋さんは、電気配線の時間を作ってくれている。
つまり、内装の骨組みだけ作って、次の部屋に移動してるんだ。
骨組みだけになった部屋に、俺が配線をする。
その後、軽天屋さんが、壁を貼るんだ。

「親方、1階の右から始めさせてください」
「おう、いいぞ。終わったら言えよ。ボード貼るからな」
「はい」

正直な話、「頂き!」って思ったよ。
軽天屋さんのやり方次第で、電気屋の仕事なんて楽にも苦にもなるからね。

その日、家に帰ってからの酒は旨かったなあ。

「たけし、どうだった?初日は」
「おう、あの軽天屋さんなら、楽勝だよ。下手すりゃもう1件請けられるかもよ」
「何言ってんの。無理はしないでね」
「おう、大丈夫だ」

そんな話をしていたら、風呂に入ってた大樹が叫びながら走ってきたよ。

「とーちゃん、見て見て!」
「ん?なんだあ?」
「ほらほら、チンチンに毛が生えてきたよ!」
「え?見えないぞ?」
「ほら、よく見てよ。ここ、ここ!」

近づいて見ると、薄っすらと、産毛が生えはじめていたよ。

「あっはっは。これがチン毛か?」
「そうだよ、とーちゃん。俺も大人かなあ?」
「そうだなあ、大人になる準備をしてるんだなあ」
「まだ準備なの?」
「そうさ、とーちゃんのチンチンみたいにならなきゃ大人じゃないぞ」
「とーちゃんのチンチン?どんなんだっけ?忘れちゃったよ」

俺も仕事で遅くなったり、大樹も、もう10歳だったからね、一人で風呂に入ってたしね。

「そうか、じゃ、明日、一緒に風呂に入るか?とーちゃんのチンチン見せてやるよ」
「うん、じゃ、明日は、とーちゃんが帰ってくるまで待ってるね」
「おう、そうだな」

仕事も順調に出来そうだし、大樹もまだ素直な頃だったな。
とにかく、この夜の酒は旨かったよ。

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2015年7月13日月曜日

3話 仕事と家族

親父になる

NO.・ 3・


「始めまして、虹電設の斉藤です。よろしくお願いします」

社長室というものはなく、一つの事務所の奥に、社長の席があったよ。
若い衆の席を通り抜け、専務に会釈をして、社長に挨拶したんだ。

「ああ、ぺそちゃんから話は聞いているよ。宜しくお願いね」

フランクな社長みたいだったけど、「ぺそちゃん」はないだろ?

「ぺそちゃんの旦那さんなら断るわけにもいかないからねえ。ウチの仕事をやってもらおうか?」

ぺその旦那だからかよ。
俺が飛び込みで営業したら、断るのか?
くっそ、ふざけんなよ。

「はい。宜しくお願いします」

心とは裏腹に、意外と素直に言葉が出たっけ。

「そういえば、斉藤さんの息子さん、ウチの美奈子の同級生なんだって?」

大樹は関係ないだろ?
仕事をするのは俺だぞ。

「はい。学校でもお世話になってます」

俺、卑屈になってるなあ。
いや、いかん。
こんなことで腹を立てたら、仕事なんてもらえない。
ここは我慢だ。

「さて、早速だけど、図面を見てもらおうかな?」

え?いきなり?
下請で使ってくれるの?

「は、はい」
「これなんだけどね、B材を持ってもらえば、予算はきまってるんだけどねえ」
「はあ、そうですか」

B材っていうのは、照明器具以外の材料のことなんだ。
電線とか、スイッチとか、コンセントとかの材料のことなんだ。
B材を持てれば、材料屋さんとの交渉次第で、B材の利益も出るんだよ。
これは下請にとっては、いい話なんだ。
電線も、配線方法で稼げることもあるからね。
1フロア4世帯の3階建て、2LDKの物件だったよ。

「これでね、B材込みで、600万で出来ないかなあ」
「600万っすか」
「無理?」

いや、無理も何も、いい値段だよ。
うまくやれば、俺の労務費を差し引いても、200万は儲かるな。
俺のやり方だったら、いけると思ったんだ。

「あの、監督はついてもらえるんですか?」
「いや、そんな経費は差し引いてないよ。全て斉藤さんにお任せだ」
「そうですか」

これならできる。
俺の配線方法で、好きに儲けられる。
決まりだな。

「わかりました。初仕事ってことで、この費用でやらせていただきます」
「はっはっは、初仕事だからこの費用か。斉藤さんも揉まれてきたねえ?」
「いや、そんなことはないっすけど」

やばい、俺の考えを見透かされてるようだよ。
やっぱり電気工事だけで会社を運営している社長ってのは違うな。

「じゃ、よろしくね。私は打ち合わせがあるので失礼しますよ」
「はい。ありがとうございました」

若い衆の視線を浴びながら、会釈をして事務所を後にしたよ。

家に帰って、ぺそに話したんだ。
「ぺそ、下請で仕事をもらえたよ」
「あら、よかったねえ」
「うん。。。」
「どうしたの?安く叩かれたの?
「いや、費用は十分だよ。俺の労務費を1日1万8千円で差し引いても、200万くらいは儲かるよ」
「うわあ、いい仕事じゃない?」
「まあな」
「あれ?何が気に入らないの?」
「社長がさ、ぺその旦那だから断れないって言うんだよ。大樹のことも言ってたし」
「なんだ、そんなこと?関係ないじゃん。たけしがこの現場をしっかり収めれば、それでいいんだから」
「そりゃそうだけどさ。なんかさ、ぺそと大樹が人質ってわけじゃないけど、そんな風に取られた気がしてさ」
「ばか言ってんじゃないの。たけしは一人親方なんだよ。そのためには、あたしだって協力するんだから。大樹だって、たけしが仕事に行く姿を見て勉強になるんだから」
「そうか?」
「そうだよ。がんばってね、親方!」

なんかね、ぺそと話をしたら気が楽になったよ。
俺の信用と、ぺそと大樹のために踏ん張るか。
そう思えてきたんだ。

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2015年7月11日土曜日

2話 元請

親父になる

NO.・ 2・


ゼネコンの下請、つまり、俺たち一人親方の元請会社に営業をかけたんだ。
元請の監督達は俺のことは知っていたけど、俺一人では不安だったんだろうな。
若い衆がいたから、俺を認めていてくれたのかも知れない。

最初はね、請けの仕事を回してくれなかったよ。
元請の社員が入ってる現場への「お手伝い」だったんだ。
1日1万8千円だったかな?
日雇いみたいな仕事さ。
でもね、ここでいい所を見せなきゃ請けの仕事なんてもらえないからね。
元請の社員と競争で仕事をしたよ。

会社員っていうのはね、どこかで甘えがあるのかな。
「こんな仕事は俺がやらなくても、下請がやるさ」っていう姿が見え見えだったよ。
だからね、どんなつまらない仕事でもやったさ。
こっちは会社員で決まった給料を貰ってるわけじゃないんだからね。
「手が揃ったから、明日から来なくていいよ」って言われりゃそれまでだもん。
一人親方の洗礼を受けたような気がしたな。

家に帰ってもね、なんとなく気が晴れないんだよね。
酒も旨いわけじゃなくなってきたよ。
そんな時だったよ。
ぺそが話を持ってきたんだ。

「たけし、請けの仕事をしたいんでしょ?」
「そりゃそうさ」
「あたしの同級生が電気屋をやってるんだよ。知ってる?」
「いや、知らないよ」
「そこの仕事をやってみない?」
「紹介してくれるのか?」
「話だけしておくよ。あたしは仕事の話はわからないから、その後は、たけしが営業してね」
「大樹の同級生の家だよ」
「え?大樹の?」
「どうしたの?」
「いや、大樹が嫌がらないかなあって思って」
「なんで?」
「だって、友達の家の下請だぞ。なんかさあ」
「何言ってんの。子供は関係ないでしょ?そんなことより、早く下請の仕事をしたいでしょ?」
「うん。そうなんだけどさ」
「たけしは、もう誰にも頼れないんだよ。一人で仕事をするんだからね。だったら、どこの仕事でもできるでしょ?」
「うん、そうだな。営業してみるか」

小林電気。
ぺその同級生が社長なんだ。
大樹の同級生の親父が社長なんだ。
でも、そんなことは関係ないって思わなきゃね。
俺は一人親方になったんだから。

行ったよ。小林電気。
兄弟でやってるらしい。
兄が社長で、弟が専務らしい。
若い衆が6人。
高所作業車も持ってる立派な会社だったよ。

「おはようございます!虹電設の斉藤です。ウチの女房から話があったと思いますが、社長さんにお会いできないでしょうか?」

一人親方として、下請に入るはじめての言葉だった。
この挨拶から、虹電設の斉藤が動き始めたんだ。

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