主な読み物

主な連載読み物
土に呟きながら・慣行農で生活をしながら、自然農を知り、それを実験していた百姓の物語。 (全35話)
右手を眺めて ・脳出血で倒れ、右半身麻痺、うつ病、統合失調症になってしまった百姓の闘病記。  (全31話)
生まれるということ・SLEに病んだ妻の出産に関する物語。 (全30話)
小さな記憶・幼い頃、他人の家で育てられた謎の記憶。 (全24話)
親父になる 第一部・26歳で子供を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。 第一部。(全25話)
親父になる 第二部・26歳で息子を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。 第二部。(全25話)
親父になる 第三部・26歳で子供を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。新連載(連載中)

2014年7月22日火曜日

7 パパはお百姓

7・

ちっとばかり難しい話になっちまったもんで、ここらで息を抜く話でもするかなぃ。
昔の話だがな。

オラァが三十代の頃ぁウチには必ず誰か居たわなぃ。
オラチは鍵 なんてかけた事ねぇし、だいたい車がこっちに向かって来りゃぁオラチの客だわい。
オラチの奥に家なんか無ぇもんな。
オラァが仕事から帰ってくると、必ず誰 かが酒飲んでんだわ。
大工やら、土建屋やら、百姓やら。
何所で見つけてきたんだか、若ぇネエチャンも居るんだわさ。
ウチで会って結婚しちまった若ぇ奴もい るしな。

酒飲みでなきゃぁ分かんねぇかも知んねぇけど、酒は仲間ぁ増やすで。
酒と上手く付き合えりゃぁイッパシってか?

それがな、仲間の百姓が一人で街に飲みに行ったんだと。
そいつぁ根っからの百姓で、会社勤めなんかしたことねぇんだわ。
三十半ばで嫁もねえし。婆様と二人暮しなんだわ。
酒が好きでなぁ、オラチに来る時ゃ必ず一升瓶提げて来るでな。
そいつが何考えてんだか、街の飲み屋で酔っ払って名刺を配って歩いたらしいわ。
シコタマ酔っ払ってたらしいでぇ。
オラアの女房の知り合いの飲み屋のネエチャンがウチに飲みに来た時、その名刺を見してもらったんだわ。

笑っちゃったで。
肩書きが「百姓」。

奴ぁ、名刺が欲しかったんかなぁ。
配ってみたかったんかなぁ。
誰にも内緒で名刺作って、一人で酔っ払って配ってたっつんだから、なんだか可笑しいやら悲しいやら。

それにしても、何所で名刺を作ったんだか。
未だに言わねぇ。
これだけは酒飲ましても言わねぇな。

今じゃぁ、子供に「パパ」って呼ばせてる百姓だわさ。




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2014年7月17日木曜日

13 半被のある風景

101112・ 13

「だだいまぁ」
ひょいとくぐった物干し竿。
本家のおばちゃんの石鹸と陽の香りがする物干し竿。
去年より少しだけ低くなった気がする。

「おぉ、たけ遅かったな」
本家の叔父ちゃん、奥の座敷で徳利を傾けながら目を細くしてますね。
今日は特別な日なんですよ。


親父も叔父ちゃんも仕事を休んで、みんな本家に集まって、祭りの準備なんです。
お袋も叔母ちゃんも煮物を作ったり酒を燗したり、大忙しなんです。
「ほら、たけちゃん、早くしないと」
「あ、叔母ちゃん、昼飯は食ってきたから」
「学生服はそこらに置いときな、後でたたんどくからね」
「うん」

「たけ、こっち来い」
奥の座敷、襖の向こうで親父が呼んでます。
「あれぇ?親父、なんて格好してるんだ?」
黄ばんだワイシャツ。
しわくちゃなネクタイ。
正座した黒い礼服は膝が光ってますよ。
「たけ、俺は今年から世話役だからな、こんな格好さ」
「・・・」
「今、兄さんとと話してたんだけどな、この半被、今年からお前がが着ろ」
「え・・・」

裾の長い分厚い半被。
襟も袖もささくれだった分厚い半被。
毎年々、祭りの度に・・叔母ちゃんが洗濯板に乗っける度に・・色褪せてきた分厚い半被。
光った親父の膝の前にたたまれてる。

「たけ、頼んだぞ」
親父に初めて頼まれた。
本家の叔父ちゃん、目を細くしながら徳利を傾けた。
叔母ちゃん、半被を広げて俺に袖通してくれたっけ。

お袋、徳利を三本持ってきたよ。
俺はそのまんま胡坐かいて。
本家の叔父ちゃんの真ん前で胡坐かいて。
叔父ちゃんが傾けた徳利に杯出したっけ。
この年、俺の汗がこの半被に初めて染みたんだ。

昔々の話さ。


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2014年7月16日水曜日

12 夏の記憶

1011・ 12・ 13

遠い記憶・・・夏祭り
悪ガキ仲間と小銭をポケットに屋台へ走る
キラキラの屋台はオイラ達の心ををくすぐる
ラムネに酢イカ、くじを引いて、小銭が尽きる
ボンボン片手に綿飴を舐める浴衣姿の同級生を横目で見ながら
小石をビー玉変りに境内の片隅でいつもの遊び


夏の夕・・・突然の雨
大人達は境内の詰め所へ走る
子供達は社の軒下へ走る
浴衣姿の同級生も
小石を握り締めた悪ガキ達も
社の軒下でおしくらまんじゅう
汗の匂いと、ちょっとだけお洒落した浴衣の匂いが混ざり合う不思議な空間
稲妻が走る
浴衣姿の同級生は悲鳴をあげて耳を塞ぐ
オイラ達は見栄を張って空を見つめる

夕立が去り、涼しげな風と共に
また祭りは始まる
社の軒下は何事もなかったように
祭りを見下ろす

家に帰ると、親戚が集まって呑んでた
「おぅ、たけぇ、凄げぇ雷だったな」
「うん、平気さ」
「そろそろ稲も穂を上げるかな」

稲妻・・・稲の妻・・・
稲妻が走ると、稲は穂を上げるそうです。


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2014年7月14日月曜日

16 リハビリと社会生活の違いを考えてみました


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先日、3年ぶりにリハビリ科へ足を運んだ。
私の体の動きの計測に行ってきた。
久しぶりのリハビリ科は知ってる先生もいなくなっていて、初めて会う先生に計測してもらった。

計測するまでに時間があったので、リハビリをしている患者さんを眺めていた。
やはり、お年寄りが多い。
私は若い方なんだな。
色々な人がいました。
頑張ってリハビリをしている人、椅子に座ってみんなを眺めているだけの人、先生に励まされて嫌々リハビリしている人。
それぞれだ。

私は?
私は自分からリハビリするタイプだった。
先生に教わった運動を、先生が来る前から自分で始めちゃう方だった。
その頃は、仕事が出来なくなるなんて少しも思っていなかったから
リハビリが終われば、また百姓が出来ると思っていたから。
張り切っていたんだ。
目標があったんだ。

今、目の前で頑張ってリハビリしている人、社会に出て、また以前と同じ生活が、仕事ができるんだろうか?

私は毎日、廊下を行ったり来たりして歩き回っていた。
お陰で杖もなしで歩けるようになった。
病院の廊下では。。。

退院し、自信満々の私を待っていたのは、病院の廊下やリハビリ科の3段程の階段とは全く違う社会だった。


道路には、あらゆる段差があった。
階段は3段なんてもんじゃなく、見上げる程だった。
ましてや畑なんて。。。

リハビリは大切だと思います。
リハビリをしなければ、体は動くようにならないと思います。
 




でも、「リハビリ生活」と「社会生活」には大きな隔たりがあると感じました。


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2014年7月13日日曜日

15 「見えない障害」を見えるようにするために


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友人が紹介してくれたこの記事。

「 このマークを持っている人を電車やバスなどで見かけたら、席を譲ってください。

義足や人工関節を使っている人、内部障害や難病など見た目ではわからないけれどサポートを必要としている人が持っています」

私が嫌と言うほど感じたことを払拭してくれた記事でした。

「見えない障害」「見づらい障害」をカバーしてくれる考えに基づいたものです。
以前にも書きましたが、駅でのベビーカー用、障害者用のエレベーターに乗る時の後ろめたさ?他人の目?を気にしたこと。

身体障害もそうですが、人混みに入った時に起こる、精神障害の症状。
このマークが救ってくれると思います。
このマークが広まることを願って止みません。

これは、「ヘルプマーク」と言います。

以下、東京都福祉保険局 より抜粋。

『義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からは分からない方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。
  ヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示等を、平成24年10月から都営地下鉄大江戸線で、平成25年7月から全ての都営地下鉄、都営バス、都電荒 川線、日暮里・舎人ライナーで開始し、さらに、平成26年7月からゆりかもめ、多摩モノレールへと拡大して実施しています。
 また、平成26年7月から民間企業への働きかけも実施する予定です。
 ヘルプマークを身に着けた方を見かけた場合は、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。』

対象者
『義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としている方』

実施方法
(1)対象者からの申出により、下記の場所でヘルプマークを配布
 都営地下鉄各駅(押上駅、目黒駅、白 金台駅、白金高輪駅、新宿線新宿駅を除く)駅務室、都営バス各営業所、荒川電車営業所、日暮里・舎人ライナー(日暮里駅、西日暮里駅)駅務室、ゆりかもめ (新橋駅、豊洲駅)駅務室、多摩モノレール(多摩センター駅、中央大学・明星大学駅、高幡不動駅、立川南駅、立川北駅、玉川上水駅、上北台駅)駅務室(一 部時間帯を除く)、東京都心身障害者福祉センター(多摩支所を含む)

(2)車両内等の優先席にステッカーを標示
 実施路線:都営地下鉄(浅草線、三田線、新宿線、大江戸線)、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー、ゆりかもめ、多摩モノレール

(3)民間企業による広報活動や活用の推進
 平成26年7月から民間企業への働きかけ等を実施予定』

是非、全国に広まっていただきたいものです。



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2014年7月5日土曜日

14 お互いの危険をなくすために

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点字ブロックは、絶対に必要なものです。
盲目、弱視の方々が、安全に歩くために、絶対必要なものです。
特に駅のホームでの点字ブロックはホームから落ちないために必要でしょう。

先日、野暮用で東京に行ってきました。
高速バスで新宿に着いたのですが、道路はもちろん、駅のホーム、エレベーターまでの道筋、いたる所に点字ブロックが設置されていました。
「さすが東京だな」と思ったんですが。
その点字ブロックの「出っ張り」に、私は躓いて、転んでしまいました。

新宿で転んだのは、これで2度目です。
以前は、工事用に敷いてあったコンパネの段差で転びました。

話はそれましたが、点字ブロックは絶対必要。
でも、私のような足を引きずってしまう障害者には危険な突起物なのです。

ちょっと考えてみました。
点字ブロックを「出っ張り」じゃなくて、「凹み」で作れないでしょうか?
そうすれば、点字ブロックをお使いの方々も、私のような「出っ張り」が危険な障害者も危険にさらされなくていいと思うんですが。


しかしながら、「凹み」の点字ブロックで良いのかどうかは、点字ブロックをお使いになっている方々にお聞きしなければわからないのですが。







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2014年7月2日水曜日

13 障害者が困った時のことを考える

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昨年、いや一昨年だったかな?高速バスで実家(東村山)へ帰った時のこと。
高速バスは新宿西口が終点でした。
そこから西武新宿まで歩くのですが、人混みがすごく、みんな歩くのも早かったのです。
当然、私は人並みに遅れながら歩いていました。

とはいうものの、気分的には少し焦っていたので右足を引きずり、右腕の付随運動もはじまっていました。

と、ある場所で工事が行われていて、歩道にコンパネが敷いてありました。
そのコンパネの1cmくらいの段差につまづいて、私は転んでしまいました。
そうしたら、なんと、あれだけ混みあっていた人並みが、私を避けるようにさっと広がったのです。

私は左肘と顔を地面につけたまま、じたばたしていました。
なかなか起き上がれなかったのです。
人並みは私のことなど構わずに、何事もなかったかのように流れ続けていました。

そんな時、助けてくれたのが、工事で旗をふっているお兄さんでした。
両脇をかかえられ、起こしてくれました。

「大丈夫ですか?」
「はい、。。いや、ちょっと左の肘が。。」
見れば、左肘から血が滴り落ちていました。
「ちょっと待っててください」
旗振りのお兄さんは、工事現場の中に入っていきました。

お兄さんを待っていると、彼は消毒液と絆創膏を持ってきてくれました。
「これで処置しましょう」
お兄さんに処置をしてもらい、絆創膏で血も流れなくなりました。

このやりとりの最中、人混みの流れは止まらず、お兄さんと私二人だけの時間が止まっているようでした。

障害者に対してもそうですが、誰かが困っている時に、あなたは手を差し伸べることができますか?
そんな心の余裕を持っていらしゃいますか?




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